おいしさへのこだわり

  • 「江戸前」であり続けること

私どもの原点である"本格江戸前"に誇りを持ち、赤酢シャリとネタへのひと手間をベースとした江戸前スタイルを貫きつつ進化を続けます

  • 冷凍へのこだわり

急速冷凍として最も普及している空気凍結を採用。お鮨に最適な湿度を含んだ空気を循環して冷凍することでみずみずしさを保ちます

  • 解凍へのこだわり

新鮮なネタがウリの江戸前鮨の握りたて感を再現すべく、より手軽でより美味しい解凍方法の研究に励んでいます。解凍も日々進化しています

  • 冷凍だからできること

冷凍食品は、1年間は最初の品質がほぼ保たれるといわれています。そのため保存料を使わず無添加で健康なお鮨をご提供できます

  • 定期便への思い

漁師さんが安定して販売する環境を整えられるよう、日本各地のご当地ネタを用いた定期販売に力を入れています。 詳しくは、こちら

冷凍と解凍のおはなし

冷凍の基礎知識

普段生活をしていると「冷凍食品」という用語をよく耳にしたり、会話の中で使ったりするのではないでしょうか。日常生活の中では、冷凍状態で購入する食品を全般的に冷凍食品と呼ぶことが多いかもしれません。ですが、法律上、冷凍食品と名乗り、製造・販売するためには、食品衛生法で定められている製造・流通過程における規格基準に準拠している必要があります。食品衛生法の冷凍食品には該当せず、単に流通のために冷凍された食品は、冷凍流通品または凍結流通品などと呼ばれ冷凍食品とは区別されています。

規格基準の例として、「冷凍食品は、これを-15°以下で保存しなければならない。」という保存基準が存在します。

食品の保存は、ご自宅で美味しく食べることと深い関係があるためもう少し詳しく見ていきますと、一般社団法人 日本冷凍食品協会は、

  • 食品衛生法で定められている-15℃以下という基準は、細菌を繁殖させないという食品安全に関しての基準であり、 おいしさを長期間担保するための基準ではないこと
  • 国連の専門機関である国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が合同でつくった国際的な食品規格CODEX(コーデックス)が策定した『急速冷凍食品の加工及び取扱いに関する国際的実施規範 (CAC/RCP 8-1976)』では、-18℃以下という保管温度が定められ、国際的な基準とされること(外国と冷凍食品の貿易を行う場合にはこの国際的な基準を遵守しなければならない)
  • 品温を-18℃以下にすれば、およそ1年間は最初の品質がほぼ保たれること

などから、『冷凍食品自主的取扱基準』を通じて、保存温度-18℃以下を推奨しています。(摂氏-18℃=華氏0℃)

さらには、日本工業規格(JIS)により、冷蔵庫の冷凍室の温度は-18℃と定められています。メーカーや機種によって差があると思われますが、家庭用の冷蔵庫の冷凍室は通常ー18℃程に設定されているのではないでしょうか。

このように、私たちの食生活にとても身近であり、また、法的にも規格基準・国際基準がきちんと整備された上で流通されている冷凍食品、またそれを支える冷凍技術ですが、「急速冷凍」の技術が進化したことで、美味しい本格江戸前鮨をご自宅でお楽しみいただくことが可能となりました。

では「急速冷凍」とはいったい何でしょう?家庭用の冷蔵庫で冷凍するのとは何が違うのでしょう?

急速冷凍、急速凍結、瞬間冷凍、瞬間凍結など様々な呼び方が存在します。どれも同じことを表しています。

急速冷凍を言葉で定義すると「最大氷結晶生成温度帯(通常の場合0℃から-5℃の間)を急速に通り過ぎるような方法で凍結すること」となるようです。なお「急速に」の部分は日本冷凍食品協会の認定基準では概ね30分以内とされています。

急速冷凍を施すことで、細胞膜を壊すことなく食品を冷凍することができるため、食品の品質、美味しさ、食感などを維持したまま冷凍することができます。反対に、家庭用の冷蔵庫など比較的高い温度でゆっくりと凍結することは、緩慢凍結と呼ばれます。緩慢凍結では凍結時に氷の結晶が大きくなり食品の細胞組織を破壊してしまいます。そのため、品質、美味しさや食感を維持することができません。

急速冷凍にはいくつかの種類があります。ここでは食品の急速冷凍として代表的な4種類の方法をご紹介します。これら4種類の急速冷凍方法の中にはお鮨の冷凍に適した方法があります。

  • 空気凍結(エアーブラスト式)

    旬瞬凍シンニギリで採用してるメインの凍結方法はこの空気凍結です。

    現在急速冷凍の中では最も普及している方式です。温度を下げた空気を冷凍庫内に送風し食品を凍結させます。一般的には-45℃~-20℃程に温度帯が設定されていることが多いようです。

    • ブライン凍結(液体式)

      冷却させたブライン液内に食品を漬けて凍結させます。-35℃~-30℃程度のアルコールをブライン液として使用するタイプがよく知られています。液体内では圧力がかかるため、柔らかい食品、例えば、クリームが乗ったショートケーキなどの凍結には向いていません。

      旬瞬凍シンニギリもブライン凍結機で冷凍することがあります。凍結の際にシャリの変形が懸念されましたが、試作の結果、問題無く製造することができましたので、アルコール凍結も活用させていただいています。

      • 液化ガス凍結

      気体化した液化窒素や液化炭酸ガスを食品に噴きつけることで高品質な冷凍を実現することができます。最大氷結晶生成温度帯(通常の場合0℃から-5℃の間)の通過速度が他の3種類よりも速いため、細胞膜への影響という観点からは液化ガス冷凍は最も品質が高い方法であると言われています。液化窒素は-196℃で、また、液化炭酸ガスは-78.5℃で気体となります。

      • 接触式凍結

      低温の冷凍板・金属板で食品を挟み、圧力を加えることで食品を凍結する方法です。食品に圧力がかかるという特性上、使用できる食品が限定されます。また、冷凍しながら同時に成形することができるという特長があります。

      このように急速冷凍の技術が進化したことで、麻布 鮨心の高級江戸前鮨をご自宅で気軽に楽しんでいただけるようになりました。また、食品を急速冷凍するからこそ得られる様々なメリットがあります。

      • 保存料を使わず、無添加での提供が可能なためより健康にやさしい

      • 長期保存が可能。-18℃で適切に保管すれば概ね8ヶ月から24ヶ月間は最初の品質を維持でき、場合によって3年は品質を維持することが可能であるとも言われています

      • 腐敗や食中毒の原因になる細菌を活動停止状態にし増殖を抑えることができる。寄生虫の中には、冷凍により死滅するものもいます

      平成28年~令和2年の5年間をみても、国内で発生する食中毒事件の三大原因は、アニサキス(寄生虫)、カンピロバクター(細菌性)、ノロウイルス(ウイルス性)です。食中毒を引き起こす有害な微生物が増殖しやすい温度帯を「危険温度帯」といい、10℃~60℃の温度帯が該当します。衛生管理の観点からも食品を危険温度帯に置いたままにせず、速やかに冷却することが求められます。また、アニサキスは-20℃で24時間以上冷凍することで感染性を失うため冷凍はアニサキスに起因する食中毒を防ぐ手段として有効です。

        解凍方法の追求

        本格江戸前鮨の握りたての鮮度、味わいをご自宅で楽しんでいただくためには、冷凍と同じくらい解凍も重要です。 ここでは、ご自宅での冷凍寿司の解凍に限定してお話をいたします。

        現状、冷凍寿司の通販としては、箱寿司や棒寿司といったネタが調理されている押し寿司タイプが中心のようです。それらは、電子レンジ解凍が推奨されています。生ではなく調理済みのネタであれば電子レンジを使っても問題はないはずですし、やはり電子レンジを使って解凍できるというのは食べる側からしても便利なはずです。

        インターネット通販で販売されている冷凍寿司の解凍方法を調べてみますとおおよそ以下のような解凍方法が中心のようです。

        • 電子レンジのみでの解凍。押し寿司スタイルに多い解凍方法
        • ネタを自然解凍か流水解凍 + シャリを電子レンジ、というようなパーツごとに異なる解凍方法を採用するパターン。ネタとシャリがばらばらにパッケージされているタイプの冷凍寿司に多い解凍方法
        • ゆっくり時間をかける自然解凍
        • 電子レンジ数十秒+自然解凍、または、電子レンジ数十秒+流水解凍、というようなハイブリッド型

        私どもは旬瞬凍シンニギリを最もおいしい状態でお召し上がりいただくよう、商品開発のみならず解凍方法の研究にも力を入れております。その中で、複数個のお鮨を同時に解凍することを前提に、冷凍寿司の解凍で重要なポイントを

        • 全ての個体に均等に熱がかかること(ムラが出ないこと)
        • ネタとシャリにそれぞれ最適な温度の熱がかかること。ネタの解凍に適した温度とシャリの解凍に適した温度は異なると考えています。それぞれを異なる温度帯で解凍することで、ネタはやや冷たくシャリはやや暖かく、というようにカウンターで提供したてに近い状態のお鮨をお召し上がりいただくことができる

        と考えています。その結果、旬瞬凍シンニギリにとっての最適な解凍方法として、

        • 解凍キットと沸騰したての熱湯を使い40分お待ちいただく

        という現在の解凍方法を最も推奨させていただいております。

        一方で、やはり40分待つことは長すぎる、というみなさまからのご意見にも配慮し、約10分で解凍いただける方法として、

        • 真空パックのまま、電子レンジ500wで1分10秒 + 40℃温水を使いタッパー密封で10分

        というハイブリッド型の解凍方法もあわせてご提案しております。繊細な江戸前鮨のネタには電子レンジの利用は不向きと考えられていました。しかしながら私たちは実験を繰り返すことで、シンニギリの品質維持と解凍スピードという観点からの最適解(2023/5現在)として、『おいそぎ解凍約10分』を開発しました

        詳しいシンニギリの解凍方法は、こちら

        ぜひさまざまな冷凍寿司、通販やスーパーで購入できるおすしと旬瞬凍シンニギリを食べ比べていただき、旬瞬凍シンニギリの美味しさの違いを実感していただければと思っております。

         

        参考文献

        一般社団法人 日本冷凍食品協会『冷凍食品自主的取扱基準 及び 急速冷凍食品の加工及び取扱いに関する国際的実施規範』 https://www.jsrae.or.jp/info/reisyokuH2512.pdf

        農林水産省 資料 https://www.maff.go.jp/j/jas/attach/pdf/yosan-34.pdf

        公益社団法人 日本食品衛生協会『食品衛生責任者ハンドブック 第2版』